公開日: 更新日:

「町の未来をこの手でつくる」猪谷千香著

「田舎に暮らす」などと気軽に口にしながら失敗する例は後を絶たず。では何をすれば本当に成功できるのか。それを知るための本を精選した――。

 近年最も成功した町おこしの実例として全国から注目されているのが岩手県盛岡市から電車で約20分の紫波(しわ)町。

 JRの駅を降りるとすぐ目の前に広がるのが「オガール広場」。岩手弁で「育つ」を意味する「おがる」とフランス語の「駅」(ガール)をダブらせた造語だが、商業施設と図書館と遊び場が合体したユニークな造りになっている。

 仕掛け人は地元出身の事業家。もとは「地域振興整備公団」で準公務員的に町おこしに関わったが、父の死で実家の建設会社を継ぎ、地方の衰退を目のあたりにして一念発起。東京の社会人大学院にも週1回通学しながら、公民連携で町おこしを実践する技法を学んだ。

 すごいのはこの個人的努力を町長と町役場が高く評価したこと。全国で採用された「ハコ物」型方式をしりぞけ、半信半疑の若手職員まで派遣留学させて、町の未来を懸けたという。

 著者はフリーのジャーナリストとして全国の地方図書館を取材。その過程で紫波町を知って深く取材することにしたらしい。(幻冬舎 1400円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    カーリング女子フォルティウス快進撃の裏にロコ・ソラーレからの恩恵 ミラノ五輪世界最終予選5連勝

  2. 2

    南原清隆「ヒルナンデス」終了報道で心配される“失業危機”…内村光良との不仲説の真相は?

  3. 3

    契約最終年の阿部巨人に大重圧…至上命令のV奪回は「ミスターのために」、松井秀喜監督誕生が既成事実化

  4. 4

    「対外試合禁止期間」に見直しの声があっても、私は気に入っているんです

  5. 5

    高市政権「調整役」不在でお手上げ状態…国会会期末迫るも法案審議グダグダの異例展開

  1. 6

    円満か?反旗か? 巨人オコエ電撃退団の舞台裏

  2. 7

    不慮の事故で四肢が完全麻痺…BARBEE BOYSのKONTAが日刊ゲンダイに語っていた歌、家族、うつ病との闘病

  3. 8

    箱根駅伝3連覇へ私が「手応え十分」と言える理由…青学大駅伝部の走りに期待して下さい!

  4. 9

    「日中戦争」5割弱が賛成 共同通信世論調査に心底、仰天…タガが外れた国の命運

  5. 10

    近藤真彦「合宿所」の思い出&武勇伝披露がブーメラン! 性加害の巣窟だったのに…「いつか話す」もスルー