「結婚クライシス」山田昌弘氏

公開日: 更新日:

「問題は、男性が稼いで家族を養い、女性が家事をするという『古き家族像』にいまだにこだわる人が多いことですね。学生にもそうした考えが増えています。今の時代、結婚は恋愛の結果ではなく、経済生活にとって有利な相手とするもの。つまり恋愛は無駄な行為になってしまったのです」

 古き家族像にこだわる人々に、著者からの提案はこう。

「高収入で、かつ好みに難がない男性などいません。同様に家事ができて何でも言うことを聞いてくれる女性も存在しません。親に対しても同様。安定した職で高収入の婿はいないし、昔ながらのいい嫁もいません。この現実を頭に入れてほしいです」

 ただし、個人の意識が変わっても、社会全体が変わらなければ意味がないとも指摘する。雇用の安定、所得格差の是正、社会保障制度の見直しと、結婚クライシスに立ちはだかる壁は相当高い。

「親としては、実家暮らしの子供は追い出して、自立させることがベストですが、低収入で成り立たず、可哀想という親心もあります。しかも全員が当たり前のように追い出さない限り、日本人はやろうとはしません。価値観が一変することが起こらない限り、日本社会全体は変わらないです。明治維新とか終戦とか、あとは応仁の乱レベルのことが起こらない限りね(笑い)。結局、社会学者である私の提案は、全部が変わらなきゃいけないってことなんですよ」(東京書籍 1400円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    日本ハム新庄監督がドラフト会議出席に気乗りしないワケ…ソフトB小久保監督は欠席表明

  2. 2

    佐々木麟太郎をドラフト指名する日本プロ球団の勝算…メジャーの評価は“激辛”、セDH制採用も後押し

  3. 3

    遠山景織子の結婚で思い出される“息子の父”山本淳一の存在 アイドルに未練タラタラも、哀しすぎる現在地

  4. 4

    小嶋陽菜はブランド17億円売却後に“暴漢トラブル”も…アパレル売れまくりの経営手腕と気になる結婚観

  5. 5

    星野源「ガッキーとの夜の幸せタイム」告白で注目される“デマ騒動”&体調不良説との「因果関係」

  1. 6

    ドラフト目玉投手・石垣元気はメジャーから好条件オファー届かず…第1希望は「日本ハム経由で米挑戦」

  2. 7

    今秋ドラフトは不作!1位指名の事前公表がわずか3球団どまりのウラ側

  3. 8

    「えげつないことも平気で…」“悪の帝国”ドジャースの驚愕すべき強さの秘密

  4. 9

    「仮面の忍者 赤影」で青影役 金子吉延さんは週5日の病院通いで「ダイジョーブ?」

  5. 10

    また日本中がブラック企業だらけになる…高市首相が案の定「労働時間規制」緩和指示の醜悪