「結婚クライシス」山田昌弘氏

公開日: 更新日:

 今の自分の生活は、そこそこ中流だと思いたい。なんとかやっていけている暮らしを変えたくない、転落したくない――と思うのが「中流転落不安」だ。

 若者の間にも、この感覚が根深く広がっている。それが男女交際の不活発化、ひいては未婚化・少子化につながる。結婚は中流から転落するリスクが高いとされ、まさに結婚クライシス(危機)に陥る時代なのだ。

「この根底にあるのは、世間体を気にする日本人の性質です。収入が高い男性でないとイヤだとか、周りから見て恥ずかしい生活はイヤだというのも、世間体重視だからこそ。自分だけが周囲と違うのはイヤで、多数派に属さなければ損という意識も強すぎます。経済が右肩上がりの時代はそれでもよかったけれど、不景気になった途端、世間体社会の悪い面が一気に出てきてしまいましたね」

 結婚や家族にまつわる社会現象をつぶさに分析してきた著者が、新聞連載に加筆し、まとめたのが本書だ。社会保障や新卒一括採用、働き方など、日本における悪しき慣習や問題点も舌鋒鋭く論じるが、特に結婚については苦言を呈する。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    さすがチンピラ政党…維新「国保逃れ」脱法スキームが大炎上! 入手した“指南書”に書かれていること

  2. 2

    国民民主党の支持率ダダ下がりが止まらない…ついに野党第4党に転落、共産党にも抜かれそうな気配

  3. 3

    ドジャース「佐々木朗希放出」に現実味…2年連続サイ・ヤング賞左腕スクーバル獲得のトレード要員へ

  4. 4

    来秋ドラ1候補の高校BIG3は「全員直メジャー」の可能性…日本プロ野球経由は“遠回り”の認識広がる

  5. 5

    ギャラから解析する“TOKIOの絆” 国分太一コンプラ違反疑惑に松岡昌宏も城島茂も「共闘」

  1. 6

    国分太一問題で日テレの「城島&松岡に謝罪」に関係者が抱いた“違和感”

  2. 7

    小林薫&玉置浩二による唯一無二のハーモニー

  3. 8

    脆弱株価、利上げ報道で急落…これが高市経済無策への市場の反応だ

  4. 9

    「東京電力HD」はいまこそ仕掛けのタイミング 無配でも成長力が期待できる

  5. 10

    日本人選手で初めてサングラスとリストバンドを着用した、陰のファッションリーダー