人跡未踏の探検本特集

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「ロシア極東 秘境を歩く」相原秀起著

 戦争の痕跡がいまなお残る北千島・占守島の島々やサハリン、オホーツクは、日本の一般人が簡単には足を踏み入れることができない北の秘境。北方領土問題としてひとくくりにされ、なかなか光の当たらない日本とロシアの接点の地では、いったいどんなことがあり、どんな人々がいま生きているのか。

 本書は、日本とロシアの歴史の舞台となったそんな土地に降り立った記者が、自分の目で確かめ、自分の足で歩いて遭遇した出来事を考察とともにつづったエッセー集だ。ロシア政府から、国境地帯と指定されている千島列島に入るには、まずは国境警備隊の入域許可を取り付けなければならない。サハリンで10日間待たされた後ようやく許可を得るが、占守島へ渡る船が見つからないから、すべて現場に行ってから人脈をたぐりよせて解決していく。戦争の爪痕だけでなく、マンモスが埋まった永久凍土や、両国民が友好関係を築いた時代があったことも見えてくる。隣国なのに遠い国のようになってしまったロシア極東を改めて知ることができる。

(北海道大学出版会 2800円+税)

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