「検査なんか嫌いだ」鎌田實著

公開日: 更新日:

 タイトルを見て、「私もだ!」と思った人も少なくないはずだ。長野県諏訪中央病院名誉院長の著者自身も、病院での検査が苦手なのだという。しかし、長年にわたる医師としての経験から、「もっと早く検診を受けていれば」という患者と数多く接してきたのも事実。そこで本書では、各種検査の特徴を解説するとともに、最小限受けておきたい検査についても紹介していく。

 受けるべきか受けざるべきかでたびたび論争となるのが人間ドックだが、“異常なし”がわずか6.6%と、平均寿命世界一の日本としては異様とも思えるデータが出ている。ごく初期の病気まで見つけて治療を余儀なくさせることで、かえって体のダメージになる可能性もあるそうだ。

 一方で、大腸がんを調べる便潜血反応検査や、肺がんを調べる喀痰細胞診検査などは、簡単で痛みもなく、異常を見逃しにくい検査のため、著者は受診を勧めている。そして、これらの検査以上に重要だと説くのが、血圧と体重の検査だ。実は、このふたつを軽視せずに細かく記録しておくだけで、他の検査よりも体の異常を素早く察知するのに役立つのだという。

 自分に必要な検査は何か、考えるきっかけにしたい。(集英社 1000円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    冷静になれば危うさばかり…高市バブルの化けの皮がもう剥がれてきた

  2. 2

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  3. 3

    大関取り安青錦の出世街道に立ちはだかる「体重のカベ」…幕内の平均体重より-10kg

  4. 4

    藤川阪神で加速する恐怖政治…2コーチの退団、異動は“ケンカ別れ”だった

  5. 5

    維新・藤田共同代表に自民党から「辞任圧力」…還流疑惑対応に加え“名刺さらし”で複雑化

  1. 6

    大谷翔平は米国人から嫌われている?メディアに続き選手間投票でもMVP落選の謎解き

  2. 7

    小野田紀美経済安保相の地元を週刊新潮が嗅ぎ回ったのは至極当然のこと

  3. 8

    前田健太は巨人入りが最有力か…古巣広島は早期撤退、「夫人の意向」と「本拠地の相性」がカギ

  4. 9

    「しんぶん赤旗」と橋下徹氏がタッグを組んだ“維新叩き”に自民党が喜ぶ構図

  5. 10

    歪んだ「NHK愛」を育んだ生い立ち…天下のNHKに就職→自慢のキャリア強制終了で逆恨み