「日雇い浪人生活録(三)金の策謀」上田秀人著
浪人の左馬介は、その仕事ぶりが認められ、両替商・分銅屋の用心棒に雇われる。夜逃げした貸方屋(金貸し)駿河屋を店ごと買い取った分銅屋の主・仁左衛門は、駿河屋から金を借りたままになっていた勘定吟味役の千種に返済を求めるが、返事がない。千種は、借金がなかったことにしようとあれこれ画策する。
一方、「幕政のすべてを米から金に移行せよ」との先代・吉宗の遺命を果たすため仁左衛門の力を借りる田沼意次は、請われて札差の加賀屋と面会。加賀屋は意次に仁左衛門との付き合いをやめるよう求めてくるが、意次はきっぱりと断る。数日後、左馬介は何者かに尾行されていることに気づく。
金と利権をめぐる争いを描く時代エンターテインメント。(角川春樹事務所 640円+税)