糖尿病性網膜症…高血糖が網膜の毛細血管へダメージを与える
糖尿病の慢性的な合併症の中でも代表的なものが「糖尿病性網膜症」です。この病気は、日本人の失明原因の第2位に位置しています。参考までに、失明の原因1位は「緑内障」、3位は「網膜色素変性症」となっています。
糖尿病とは、血液中のブドウ糖(血糖)の濃度が慢性的に高くなる病気です。この高血糖状態が長く続くと、余分な糖分が血管を通じて全身に運ばれ、体内の血管にダメージを与え始めます。これによって現れるさまざまな症状が「合併症」と呼ばれ、そのひとつが糖尿病性網膜症です。
糖尿病によって血管が傷ついていく中でも、特に毛細血管のような細い血管はダメージを受けやすくなります。血管がもろくなって破れて出血したり、必要な酸素や栄養素を細胞に届けられなくなってしまうのです。目の「網膜」と呼ばれる部分にも毛細血管が多く分布しており、糖尿病が進行するとこの網膜の毛細血管も傷つき、出血を起こすようになります。これが糖尿病性網膜症です。
ここで網膜について少し補足しましょう。網膜とは、眼球の内側に貼り付くように存在する、光を感じ取る薄い膜状の組織です。その厚さはわずか0.1~0.4ミリ程度と非常に薄く、カメラで例えるならフィルムのような役割を果たしています。光はまず角膜を通って目の中に入り、瞳孔、水晶体を経て網膜に像を結び、私たちは「見る」ことができているのです。