(3)高齢になって“もの”が二重に見える原因の大半は斜視
年齢を重ねるとさまざまな目の不調が出てきます。老眼だけでなく、ものが二重に見える、ぼやける、目がかすむ、疲れる、乾くなど。これらの症状を、最近では「アイフレイル」と呼んでいます。
アイフレイルとは、加齢に加えてストレスなどで目の働きが衰えた状態をいいます。目の健康と病気の中間段階にあるため、アイフレイルのうちに対策をとれば、目の健康寿命を延ばすことができるといわれています。
「実は、高齢者の斜視もアイフレイルのひとつなのです。高齢になると複視(ものが二重に見える)に悩む人が増えますが、原因の大半は斜視によるものです。斜視を治すことで症状が改善されることもあります」
こう話すのは、多くの斜視・複視の治療を行ってきた後関利明・国際医療福祉大学医学部教授(兼熱海病院眼科部長)です。
「斜視は生まれつき」と誤解している人が多いようですが、後関教授によると、加齢に伴って発症する斜視(加齢性斜視)もあり、高齢者の複視の原因のトップはこの加齢性斜視によるものだそうです。高齢化が進むにつれ「斜視人口」も増加していると考えられます。