進次郎農相の“JA憎し”どこまで…「古古古古米」込み20万トン再放出の“逆兵糧攻め”で宿敵つぶしに躍起

公開日: 更新日:

 さながら「小泉コメ劇場」の追加公演発表だった。小泉進次郎農相は10日の閣議後会見で、新たに20万トンの政府備蓄米を随意契約で追加放出すると表明した。

 対象は2021年産の「古古古米」と20年産の「古古古古米」がそれぞれ10万トンずつ。まず21年産10万トンのほか、中小の小売業者向けに放出した同6万トンの枠から残る2万トンを移し、11日から計12万トンの受け付けを開始。契約先は大手・中小を問わず小売業者と精米可能な米穀店で、申込量の上限は設けない。

 会見で進次郎氏は「備蓄米が早く安く、消費者の手元に届くよう、スピードを緩めずに対応していきたい」と胸を張ったが、いくらせかしても流通できる量には限りがある。

 すでに小売業者に直接、玄米の状態で売り渡された備蓄米が各地の精米工場に殺到。足元の稼働率は9割を超える。先に放出した5キロ2000円前後の22年産の「古古米」ですら十分に店頭に出回らないうちに、追加放出を決めたら、いよいよ精米工場はパンクする。

 進次郎氏の大臣就任以降、今回の追加分を含めれば随意契約で放出する備蓄米は計50万トン。コメの国内消費量の1カ月分(約55万トン)に匹敵する。日本精米工業会によると、会員企業の精米取扱量は1日換算6000トン前後。各社の精米工場を備蓄米向けにフル稼働しても、完了には80日以上、3カ月近くかかる計算だ。

 備蓄米放出の官製バーゲンセールは100%純然たる選挙対策。追加放出により来月20日に想定される参院選の投開票日までは余裕たっぷり。追加公演の時間稼ぎで負担を強いられるのは精米工場だけではない。倉庫業界も備蓄米の出庫作業で大忙し。収入源の保管・管理料も激減するダブルパンチで「廃業を検討する事業者もいる」と報じられるほどだ。

■関連キーワード

最新の政治・社会記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 政治のアクセスランキング

  1. 1

    随意契約“小泉米”をホメているのは新聞とテレビだけ…専門家の評判はからっきし

  2. 2

    福岡厚労相ついに“白旗”…健康保険証の代わり「資格確認書」の一律送付「最後は自治体の判断に委ねる」

  3. 3

    山尾志桜里氏「みそぎ」の出馬会見で火に油…延々2時間半「すみません」連呼、8年前の不倫報道には“完黙”

  4. 4

    国民民主党の凋落が止まらない…東京都議選の目標議席「11→5」にシレッと“下方修正”の哀れ

  5. 5

    進次郎農相の“JA憎し”どこまで…「古古古古米」込み20万トン再放出の“逆兵糧攻め”で宿敵つぶしに躍起

  1. 6

    山尾志桜里氏が参院選「公認取り消し」に至るまで…玉木国民民主またポンコツぶり露呈

  2. 7

    国民民主党・玉木代表の“立憲憎し”が止まらない…今度は年金改革法案「遺族年金」でミスリード

  3. 8

    コメ高騰と備蓄米叩き売りで進次郎農相・自民農水族・財務省が“焼け太り”…輸入拡大ならトランプ大統領もニンマリか

  4. 9

    参院選の争点に浮上か? 野党3党がガソリン「暫定税率廃止」法案を共同提出する深謀遠慮

  5. 10

    自民党の大嘘…12年前に掲げた「農業・農村全体の所得を今後10年間で倍増」はどうなった?

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    (1)長嶋茂雄氏の「逆転巨人入り」は、銚子の料亭旅館の仲居さんの一言から始まった

  2. 2

    「時代と寝た男」加納典明(17)病室のTVで見た山口百恵に衝撃を受け、4年間の移住生活にピリオド

  3. 3

    佐藤輝明&森下翔太の覚醒で阪神「歴史的大記録」達成の予感…実現すれば40年ぶりの快挙

  4. 4

    今秋ドラフトで割食う巨人…“恋人”の創価大・立石正広が「ミスターの後継者」候補と評価急上昇

  5. 5

    長嶋茂雄さんの「まさかの一言」で高級ブランドショップ店員は素っ頓狂な声をあげ目を白黒させた

  1. 6

    北川景子が味わった二度の挫折 仕事の間にロケバス内の猛勉強で明治大商学部に合格した努力家

  2. 7

    三山凌輝がNYライブで復帰もファン真っ二つ…プロデューサーSKI-HIの“1億円頂き男子”擁護は正解か

  3. 8

    「こっちのけんと」の両親が「深イイ話」出演でも菅田将暉の親であることを明かさなかった深〜いワケ

  4. 9

    亡き長嶋茂雄さんの長男一茂は「相続放棄」発言の過去…身内トラブルと《10年以上顔を合わせていない》家族関係

  5. 10

    巨人「松井秀喜監督」は完全消滅か、可能性あるか…恩師・長嶋茂雄さんは誰よりも願っていた