「武士マチムラ」今野敏著

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 物語の主人公は、琉球王国・泊村に住む元服間近の少年・松茂良樽金。ヤマト薩摩藩の侵攻をよく思わず、朝貢貿易の相手国・中国に憧れを抱いていた彼は、手(ティー)と呼ばれる武術に興味を持ち、父のもとで指南を受けた。

 さらに元服を終えて興作という名を授かった後に、宇久親雲上、照屋親雲上といった手の名士たちの下で修行を重ね、才能をめきめきと伸ばして島の英雄となっていく。そんな折、明治維新の荒波がヤマト幕府を襲い、琉球王国を支配していた薩摩藩も消滅することに。

 ヤマトの配下から逃れられるかに思えたが、琉球王国は消滅。興作は手の修行を通して沖縄人の在り方を模索するのだが……。

「隠蔽捜査」シリーズなどで人気の著者による最新作。道場「空手道今野塾」を主宰する空手有段者の顔を持つ著者だけあって、その道を極めようと挑む若者の心模様の描写が秀逸。

 歴史に翻弄される沖縄の義憤と葛藤を、ひとりの男の生涯を通して描いている。

(集英社 1600円+税)

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