「酒は人の上に人を造らず」吉田類著

公開日: 更新日:

 テレビでおなじみの酒場詩人が、各地を訪ね歩く紀行エッセー。

 ここ数年、生まれ故郷の高知で酒を飲む機会が増えたという。酒場で見ず知らずの客と乾杯し、すぐその場に馴染んでしまうのは、土佐流の独特の飲酒習慣によって培われたと改めて思う。土佐人の酒宴好きは、平安時代の歌人・紀貫之の「土佐日記」からも読み取れる。その高知で父親と娘姉妹が営む居酒屋での一夜、その脳裏にはハチキンと呼ばれる高知出身のたくましい女性たちとの思い出がよみがえる。

 その他、桜が満開の京都から戻った翌朝、高尾山の山中で見知らぬ人から誘われて加わった草上の酒宴、多摩川の河川敷の茶店をはじめさまざまな店の名物女将など、酒が結ぶ人との出会いをつづる。(中央公論新社 760円+税)


最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  2. 2

    大谷翔平は米国人から嫌われている?メディアに続き選手間投票でもMVP落選の謎解き

  3. 3

    高市政権マッ青! 連立の“急所”維新「藤田ショック」は幕引き不能…橋下徹氏の“連続口撃”が追い打ち

  4. 4

    YouTuber「はらぺこツインズ」は"即入院"に"激変"のギャル曽根…大食いタレントの健康被害と需要

  5. 5

    クマと遭遇しない安全な紅葉スポットはどこにある? 人気の観光イベントも続々中止

  1. 6

    和田アキ子が明かした「57年間給料制」の内訳と若手タレントたちが仰天した“特別待遇”列伝

  2. 7

    藤川阪神で加速する恐怖政治…2コーチの退団、異動は“ケンカ別れ”だった

  3. 8

    阪神・才木浩人が今オフメジャー行きに球団「NO」で…佐藤輝明の来オフ米挑戦に大きな暗雲

  4. 9

    「渡鬼」降板、病魔と闘った山岡久乃

  5. 10

    元大食い女王・赤阪尊子さん 還暦を越えて“食欲”に変化が