「酒は人の上に人を造らず」吉田類著

公開日: 更新日:

 テレビでおなじみの酒場詩人が、各地を訪ね歩く紀行エッセー。

 ここ数年、生まれ故郷の高知で酒を飲む機会が増えたという。酒場で見ず知らずの客と乾杯し、すぐその場に馴染んでしまうのは、土佐流の独特の飲酒習慣によって培われたと改めて思う。土佐人の酒宴好きは、平安時代の歌人・紀貫之の「土佐日記」からも読み取れる。その高知で父親と娘姉妹が営む居酒屋での一夜、その脳裏にはハチキンと呼ばれる高知出身のたくましい女性たちとの思い出がよみがえる。

 その他、桜が満開の京都から戻った翌朝、高尾山の山中で見知らぬ人から誘われて加わった草上の酒宴、多摩川の河川敷の茶店をはじめさまざまな店の名物女将など、酒が結ぶ人との出会いをつづる。(中央公論新社 760円+税)


最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    元フジテレビ長谷川豊アナが“おすぎ上納”告白で実名…佐々木恭子アナは災難か自業自得か

  2. 2

    フジ・メディアHD経営刷新委に吉田真貴子氏の名前…"高級和牛ステーキ接待"で辞職→天下り疑惑の元総務官僚

  3. 3

    「(来季の去就は)マコト以外は全員白紙や!」星野監督が全員の前で放った言葉を意気に感じた

  4. 4

    26億円投入のお台場巨大噴水事業が「フジ日枝案件」と露見…小池都知事による激怒と錯乱と珍答弁

  5. 5

    (61)寅さんのおかげで子供4人を大学に入れることができた

  1. 6

    中居氏問題の根底にある「旧ジャニーズ」の大きすぎる存在…フジは“パイプ役”藤島ジュリー景子氏と関係断絶できるのか

  2. 7

    星野監督1年目…周囲から浮いても関係ない「今岡は変わった」と思わせたくてアップから全力だった

  3. 8

    石丸伸二陣営が会見で露呈したグダグダ…都知事選の公選法違反疑惑で事務局長が“新証言”、買収の疑い強まる

  4. 9

    今年のロッテは期待大!“自己チュー” 佐々木朗希が去って《ようやくチームがひとつに》の声

  5. 10

    【新連載】星野監督は講演会でいきなり「おまえはクソ生意気らしいから野村さんと全然あかんかったんやろ!」