東京ディープ散歩本特集

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「東京の夜のよりみち案内」福井麻衣子著

 日々目まぐるしく更新を繰り返す巨大都市・東京。誰もが知っている場所でさえ、その一枚下にはまたひとつ別の顔を隠している。今回は、掘っても掘っても掘り尽くせない「東京」を、隅々まで歩きまわりたい人のための東京散歩本を5冊ご紹介!

 一日が、家と職場の往復だけで終わるのはもったいないと感じたら、心をオフモードにスイッチできる場所に寄り道してみよう。本書は、音楽の生演奏やアート鑑賞、手作り体験、星空観察、落語や読書、卓球やボードゲームなど、アフターファイブに楽しめるオシャレな寄り道スポット82カ所が収録された東京の夜の案内本だ。

 銀座や丸の内などの中心街はもちろん、夜遊びスポットの麻布十番や六本木、気取らず行けそうな浅草や上野、中央線文化が花咲く高円寺や阿佐ケ谷などなど、気分に合わせてお好みのスポットを探すことができる。本欄をご覧の読書好きの方にお勧めなのは、思う存分本を読んでそのまま本棚の中に泊まれる新スタイルのホテル「BOOK AND BED TOKYO」。また暖かな季節になったら彼女とのデートに、東京スカイツリーの夜景を水面から眺める「ナイトカヌー体験」も喜ばれるかも。インスタ映えするスポットを探してみるのも一興だ。

(株式会社G.B. 1600円+税)

「東京街かどタイムトリップ」岡田英之著

 東京という街を注意深く眺めてみれば、町割りや建造物などのあちらこちらに、江戸や明治の痕跡が残っている。そんな過去から現在へそして未来へとタイムトリップできる場所を厳選して、歴史的かつ文化的視点から紹介しているのが本書だ。

 たとえば、千代田区紀尾井町のホテルニューオータニがある敷地は、江戸初期までは加藤清正の屋敷が置かれ、その後徳川家の重臣・井伊家の屋敷地となって幕末まで使われた場所。明治に皇族の伏見宮邸となり、太平洋戦争後に鉄鋼王・大谷米太郎が買い取ったのちにオリンピック需要に応じてホテルを建設したのだが、ホテルの裏側には幕末からの歴史を知る樹齢200年を超える2本の木が残っているらしい。

 ほかにも、市ケ谷駅の釣り堀前の石垣石や神田岩本町の和泉橋のたもとの国旗掲揚所など、ふだん見逃してしまう81のスポットを収録。知っていれば街歩きが一層楽しくなること請け合いだ。

(河出書房新社 1400円+税)

「死ぬまでに東京でやりたい50こと」松澤茂信著

 定番の東京観光には飽きたという諸兄に、ぜひ手にとっていただきたいのが本書。首都圏のかなりとがったスポットやマニアな店に飛び込み、その魅力を徹底的に掘り下げて紹介しているからだ。

 たとえば度肝を抜かれる派手な体験をしたいなら、新宿の「ロボットレストラン」に入店すべし。ネオン輝く歌舞伎町の中でもひときわ目立つこのスポットは、店内のどこもかしこも電飾がギラギラ。ショーが始まると、ダンサーが乗り込んで操縦する巨大ロボットや大蛇などが登場し、ド迫力に言葉を失うだろう。逆に地味の極致を体験したければ秋葉原の入場無料の「はんだづけカフェ」で、ひたすら電子工作に没頭するという過ごし方もある。

 ほかにも、10円で眼鏡が買える眼鏡屋、お題が次々出されて大喜利だけを楽しむ大喜利専門スペース、個性的すぎる店長のパフォーマンスがウリの居酒屋など、大手観光ガイドが避けて通るような珍スポットがずらり。東京をトコトン楽しみたいなら、もう本書片手に体験するしかない!

(青月社 1200円+税)

「東京ディープツアー」黒沢永記編著

 発展と破壊を繰り返しながら混沌とした世界を形づくる東京には、帝都と呼ばれていた時代につくられた軍事施設や、鉄道・水道などのインフラ、路地裏や色街、鉄筋集合住宅の痕跡を見ることができる。しかし2020年の東京オリンピックを控え、このなかのどれもがいつ消えても不思議ではない状況だ。本書は、江戸開府から400年の間に集積した東京の記憶が消えてしまわぬように、印象的な写真とともに歴史の痕跡をたどった街角遺産のガイド本。

 たとえば、近未来的なビルが立ち並ぶお台場のその名前は、幕末につくられた海防拠点の品川台場に由来していることを紹介。幕末にペリー来航に備えて建造された台場も役目を終え、その痕跡はわずかしか残っていないものの、周辺を散策すれば、くぼ地の内側に施工された弾薬庫の跡を見つけることができる。次々と生まれる新しいものに目を奪われがちな街だからこそ、一度立ち止まって東京の履歴に思いを馳せてみたい。

(毎日新聞出版 1500円+税)

「ぼくの東京地図。」岡本仁著

 大きすぎる都市・東京は、常に変化し続けているがゆえに住民でさえその一部しか知ることができず、個人的な体験としてしか語れないところがある。

 北海道に生まれ、テレビ局勤務を経て、マガジンハウスで雑誌編集にかかわった経歴を持つ著者は、東京を「永遠の途中経過都市」と定義する。本書は、東京の玄関口である羽田空港や東京駅周辺、上京時の思い出の残る御茶ノ水、馴染み深い築地や日比谷など、著者が都内の各地域をどう歩き、何を見て、何を口にして楽しんだかをつづった街歩きエッセーだ。

 散歩の途中に見つけた風景やつい立ち寄りたくなるおいしい食べ物屋などを多数の写真と共に紹介していく。朝酒にハマった友人について行って知った京成立石のもつ焼き屋や、約40歳年下の食べ歩き好きの女性に教えてもらった渋谷の抜け道など、友人経由で著者の東京地図が更新されていく様子もつづられる。

 変化し続ける東京を、自分流に楽しむ著者のスタンスが心地よい。

(京阪神エルマガジン社1600円+税)

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