「本能寺の変 生きていた光秀」井上慶雪著

公開日: 更新日:

 茶道・歴史研究家で83歳の著者が強く主張するのが「本能寺の変は豊臣秀吉の陰謀であり、明智光秀は冤罪を被った」という説である。

 そもそも明智光秀と織田信長の間に不協和音あり、という定番が語り継がれてきたが、これは江戸中期の戯作者が面白おかしく描いた「川角太閤記」と「明智軍記」が、史実かのように流布したためだという。

 光秀は死んでおらず、比叡山僧侶と入れ替わった説を展開。家康が幕閣に招聘(しょうへい)した碩学(せきがく)の僧侶・天海こそが光秀本人と説く。比叡山不動堂にある古い石灯籠の謎、徳川家光の出生や関ケ原の戦いの勝因など、驚くべき論拠を重ねていく。説得力もあり、今までの史観が一変する可能性も。たどり着くのは「歴史は時の権力者が歪曲・捏造(ねつぞう)し、都合のよいように書き換えている」という結論だ。 (祥伝社 1600円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    岡山天音「ひらやすみ」ロス続出!もう1人の人気者《樹木希林さん最後の愛弟子》も大ブレーク

  2. 2

    帝釈天から始まる「TOKYOタクシー」は「男はつらいよ」ファンが歩んだ歴史をかみしめる作品

  3. 3

    西武にとってエース今井達也の放出は「厄介払い」の側面も…損得勘定的にも今オフが“売り時”だった

  4. 4

    高市政権の物価高対策はもう“手遅れ”…日銀「12月利上げ」でも円安・インフレ抑制は望み薄

  5. 5

    立川志らく、山里亮太、杉村太蔵が…テレビが高市首相をこぞってヨイショするイヤ~な時代

  1. 6

    (5)「名古屋-品川」開通は2040年代半ば…「大阪延伸」は今世紀絶望

  2. 7

    森七菜の出演作にハズレなし! 岡山天音「ひらやすみ」で《ダサめの美大生》好演&評価爆上がり

  3. 8

    小池都知事が定例会見で“都税収奪”にブチ切れた! 高市官邸とのバトル激化必至

  4. 9

    西武の生え抜き源田&外崎が崖っぷち…FA補強連発で「出番減少は避けられない」の見立て

  5. 10

    匂わせか、偶然か…Travis Japan松田元太と前田敦子の《お揃い》疑惑にファンがザワつく微妙なワケ