「ひと」小野寺史宜著

公開日: 更新日:

 高2のときに父を亡くし、20歳で母を亡くした柏木聖輔は、大学を中退し、仕事を探していた。財布の中身は55円。肉屋で50円のコロッケを買おうとしたが、横から割り込んだおばあさんに最後のひとつを譲った。メンチカツはあるが120円。店主が50円でいいと言ってくれたので、店先で食べていると、「アルバイト募集」の張り紙が目に入った。時間給950円。即言った、「働かせてください」。

 翌日、履歴書を持って訪れ「ここで働いたら、実務経験証明書に印鑑もらえますか?」と尋ねた。大卒の資格は取れない。この先身に付けられる技術は、と考えたら、答えがぽんと出た。父と同じ調理師だ。突然、ひとりぼっちになった青年を描く青春小説。(祥伝社 1500円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ヤクルトのドラフトは12球団ワースト…「余裕のなさ」ゆえに冒険せず、好素材を逃した気がする

  2. 2

    ソフトバンクは「一番得をした」…佐々木麟太郎の“損失見込み”を上回る好選定

  3. 3

    ヤクルト青木“GM”が主導したバランスドラフトの成否…今後はチーム編成を完全掌握へ

  4. 4

    森下千里氏が「環境大臣政務官」に“スピード出世”! 今井絵理子氏、生稲晃子氏ら先輩タレント議員を脅かす議員内序列と評判

  5. 5

    「汽車を待つ君の横で時計を気にした駅」は一体どこなのか?

  1. 6

    大食いタレント高橋ちなりさん死去…元フードファイターが明かした壮絶な摂食障害告白ブログが話題

  2. 7

    高市首相が狙う悪夢の“強権官邸”復活…安倍時代の再来へ「経産-警察ライン」で恐怖政治

  3. 8

    最終盤の宮城県知事選は仰天の展開! 高市首相応援の現職vs昭恵さん&参政党支援の元自民議員でデッドヒート

  4. 9

    小川晶市長「ラブホ密会」の震源地…群馬・前橋市のナイトスポットで“まさかの声”続出

  5. 10

    タレント出身議員の“出世頭” 三原じゅん子氏の暴力団交遊疑惑と絶えない金銭トラブル