「日傘を差す女」伊集院静著

公開日: 更新日:

 永田町のビルの屋上で老人の死体が発見された。胸に深く刺さっていたのは捕鯨用の銛で、老人は和歌山の捕鯨船の砲手、稲本和夫と判明した。

 死体のそばに遺書はあったが、警視庁捜査1課の立石刑事は自殺とみることに疑問を感じる。

 ところがマスコミは、現内閣に対する抗議の自殺だと騒ぎ出した。稲本は農水大臣に調査捕鯨の割り当ての捕獲頭数を拡大してほしいと陳情に来たが、秘書にけんもほろろに追い返されたという。

 やがて赤坂不動尊の工事現場で男の死体が発見されたが、その凶器は稲本と同じ銛だった。稲本の同僚の話では、それは稲本の手製の銛で、3本あったという。

 著者の6年ぶりの社会派ミステリー。

(文藝春秋 1700円+税)


最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    松任谷由実が矢沢永吉に学んだ“桁違いの金持ち”哲学…「恋人がサンタクロース」発売前年の出来事

  2. 2

    ヤクルト「FA東浜巨獲得」に現実味 村上宗隆の譲渡金10億円を原資に課題の先発補強

  3. 3

    どこよりも早い2026年国内女子ゴルフ大予想 女王候補5人の前に立ちはだかるのはこの選手

  4. 4

    「五十年目の俺たちの旅」最新映画が公開 “オメダ“役の田中健を直撃 「これで終わってもいいと思えるくらいの作品」

  5. 5

    「M-1グランプリ2025」超ダークホースの「たくろう」が初の決勝進出で圧勝したワケ

  1. 6

    出家否定も 新木優子「幸福の科学」カミングアウトの波紋

  2. 7

    福原愛が再婚&オメデタも世論は冷ややか…再燃する「W不倫疑惑」と略奪愛報道の“後始末”

  3. 8

    早大が全国高校駅伝「花の1区」逸材乱獲 日本人最高記録を大幅更新の増子陽太まで

  4. 9

    匂わせか、偶然か…Travis Japan松田元太と前田敦子の《お揃い》疑惑にファンがザワつく微妙なワケ

  5. 10

    官邸幹部「核保有」発言不問の不気味な“魂胆” 高市政権の姑息な軍国化は年明けに暴走する