「東京クルージング」伊集院静著

公開日: 更新日:

 伊地知先生と呼ばれるベテラン作家の「私」は、松井秀喜の活躍を追うドキュメンタリー番組の企画で、三坂剛という青年に出会う。

 そこで、番組づくりに真摯に取り組む彼の人柄を知り意気投合したが、好青年である彼が、ずっと独り身でいることが気になっていた。

 そんな「私」の気持ちを察したのか、三坂は、結婚を約束した女性が、ある日突然失踪してしまったという、つらい過去を打ち明ける。

 彼女を忘れられないと訴える彼に、「私」は残酷かもしれないと思いながらも、彼女のことを忘れて再出発することを勧めるのだが……。

 昨年、紫綬褒章を受章した人気作家による、出会いと別れの奇跡を描いた長編小説。

 2015年2月~16年10月にかけて信濃毎日新聞などの地方紙に連載されていた当時から、切なすぎる設定が話題を呼んだ。

 著者自身を彷彿させる「私」の視点から描かれた第1部と、三坂のもとから去らざるを得なかった女性の視点から描かれた第2部の2部構成になっている。(KADOKAWA 1600円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希に向けられる“疑いの目”…逃げ癖ついたロッテ時代はチーム内で信頼されず

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    ドジャース佐々木朗希「今季構想外」特別待遇剥奪でアリゾナ送還へ…かばい続けてきたロバーツ監督まで首捻る

  4. 4

    中日・中田翔がいよいよ崖っぷち…西武から“問題児”佐藤龍世を素行リスク覚悟で獲得の波紋

  5. 5

    西武は“緩い”から強い? 相内3度目「対外試合禁止」の裏側

  1. 6

    「1食228円」に国民激怒!自民・森山幹事長が言い放った一律2万円バラマキの“トンデモ根拠”

  2. 7

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも

  3. 8

    辞意固めたか、国民民主党・玉木代表…山尾志桜里vs伊藤孝恵“女の戦い”にウンザリ?

  4. 9

    STARTO社の新社長に名前があがった「元フジテレビ専務」の評判…一方で「キムタク社長」待望論も

  5. 10

    注目集まる「キャスター」後の永野芽郁の俳優人生…テレビ局が起用しづらい「業界内の暗黙ルール」とは