「大相撲の不思議」内館牧子著

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 女性初の横綱審議委員も務めた著者が、大相撲を語るスポーツエッセー。大相撲は神事であるとともに、スポーツ、伝統文化、興行、国技、公益財団法人という相いれがたい6つの要素によって成り立っており、それが大相撲の豊かさと奥深さをつくり上げていると説く。そのしきたりや所作、約束事の多くは「土俵は聖域」という考え方によっており、その聖域で不浄とされる左手で手刀を切った元横綱やクールビズ姿で上がった政治家に苦言を呈する。

 その他、1300年近く前の天覧相撲「相撲節会」に始まったという「花道」の由来、白鵬が負けて場内に沸き上がった万歳三唱の意外な理由など、大学院で相撲史を学び直したという著者が、学問に裏打ちされた知識で世の中の大相撲に対する偏見を正す。

 (潮出版社 759円+税)

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