「こころ傷んでたえがたき日に」上原隆著

公開日: 更新日:

 横浜駅西口の交差点に、午前9時58分、矢野さんがやってくる。サラ金まがいの店の看板を持って一日立っているサンドイッチマンだ。かつては会計事務所に勤め、税理士を目指していたが、ギャンブルですべてを失いホームレスになった。

 だが、1日5000円の収入があり、月に約12万円入るので、ほかの人は地べたで寝ているが、自分は寿町のドヤで寝てるという。お金がなくて5日間何も食べなかったとき、コンビニでおにぎりを盗もうとしたが、炊き出しに救われた。初めて5000円もらえたときはうれしかった。「コンビニで買い物ができるんだから」とフフフと笑う。(「街のサンドイッチマン」)

 心優しいコラムノンフィクション22編。

(幻冬舎 1600円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「おまえになんか、値がつかないよ」編成本部長の捨て台詞でFA宣言を決意した

  2. 2

    これぞ維新クオリティー!「定数削減法案」絶望的で党は“錯乱状態”…チンピラ度も増し増し

  3. 3

    「おこめ券」迫られる軌道修正…自治体首長から強烈批判、鈴木農相の地元山形も「NO」突き付け

  4. 4

    査定担当から浴びせられた辛辣な低評価の数々…球団はオレを必要としているのかと疑念を抱くようになった

  5. 5

    岡山天音「ひらやすみ」ロス続出!もう1人の人気者《樹木希林さん最後の愛弟子》も大ブレーク

  1. 6

    12月でも被害・出没続々…クマが冬眠できない事情と、する必要がなくなった理由

  2. 7

    やはり進次郎氏は「防衛相」不適格…レーダー照射めぐる中国との反論合戦に「プロ意識欠如」と識者バッサリ

  3. 8

    ドジャース佐々木朗希の心の瑕疵…大谷翔平が警鐘「安全に、安全にいってたら伸びるものも伸びない」

  4. 9

    黄川田地方創生相が高市政権の“弱点”に急浮上…予算委でグダグダ答弁連発、突如ニヤつく超KYぶり

  5. 10

    2025年のヒロイン今田美桜&河合優実の「あんぱん」人気コンビに暗雲…来年の活躍危惧の見通しも