「こころ傷んでたえがたき日に」上原隆著
横浜駅西口の交差点に、午前9時58分、矢野さんがやってくる。サラ金まがいの店の看板を持って一日立っているサンドイッチマンだ。かつては会計事務所に勤め、税理士を目指していたが、ギャンブルですべてを失いホームレスになった。
だが、1日5000円の収入があり、月に約12万円入るので、ほかの人は地べたで寝ているが、自分は寿町のドヤで寝てるという。お金がなくて5日間何も食べなかったとき、コンビニでおにぎりを盗もうとしたが、炊き出しに救われた。初めて5000円もらえたときはうれしかった。「コンビニで買い物ができるんだから」とフフフと笑う。(「街のサンドイッチマン」)
心優しいコラムノンフィクション22編。
(幻冬舎 1600円+税)