「マンモスを再生せよ」ベン・メズリック著 上野元美訳

公開日: 更新日:

 3000年前に絶滅したマンモスを最先端の遺伝子操作で再生させるという「ジュラシック・パーク」のようなプロジェクトが実際に進行している。本書はこの驚くべきプロジェクトの全貌に迫ったノンフィクション。

 主役は、ハーバード大学医学部教授のジョージ・チャーチ。ヒトゲノム計画やマラリア撲滅運動、遺伝子移植による老化の逆行といった科学研究に携わり、マンモス再生計画チームを率いる。チャーチの背中を押したのがロシアの生態学者、セルゲイ・ジモフだ。ジモフは、シベリアの永久凍土の融解による二酸化炭素とメタンの大量放出による地球温暖化を防ぐべく、北極圏に「氷河期パーク」を造り、そこで大型草食動物が地面を踏み荒らせば地表温度を下げられると主張。これを知ったチャーチは、マンモスを再生して氷河期パークに放つことを計画する。

 こうして始まったプロジェクトには世界中の知性が集まり着々と進行しているという。科学の進歩の素晴らしさと危惧の両面を伝えてくれる。

(文藝春秋 2000円+税)


最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース「佐々木朗希放出」に現実味…2年連続サイ・ヤング賞左腕スクーバル獲得のトレード要員へ

  2. 2

    国分太一問題で日テレの「城島&松岡に謝罪」に関係者が抱いた“違和感”

  3. 3

    ギャラから解析する“TOKIOの絆” 国分太一コンプラ違反疑惑に松岡昌宏も城島茂も「共闘」

  4. 4

    片山さつき財務相の居直り開催を逆手に…高市首相「大臣規範」見直しで“パーティー解禁”の支離滅裂

  5. 5

    ドジャース佐々木朗希の心の瑕疵…大谷翔平が警鐘「安全に、安全にいってたら伸びるものも伸びない」

  1. 6

    小林薫&玉置浩二による唯一無二のハーモニー

  2. 7

    森田望智は苦節15年の苦労人 “ワキ毛の女王”経てブレーク…アラサーで「朝ドラ女優」抜擢のワケ

  3. 8

    臨時国会きょう閉会…維新「改革のセンターピン」定数削減頓挫、連立の“絶対条件”総崩れで手柄ゼロ

  4. 9

    阪神・佐藤輝明をドジャースが「囲い込み」か…山本由伸や朗希と関係深い広告代理店の影も見え隠れ

  5. 10

    阪神・才木浩人が今オフメジャー行きに球団「NO」で…佐藤輝明の来オフ米挑戦に大きな暗雲