「謎の毒親」姫野カオルコ著
1年前、20余年に及んだ父母の介護から解放された光世は、ある日、所用で大学時代に住んでいた町を再訪。かつて通った本屋に立ち寄ると、店はビルになり本屋は古本屋になっていた。しかし、店主は当時と変わらず、光世のことも覚えていてくれた。光世は店の壁に貼ってあった「城北新報」なる手作りのフリーペーパーが好きだった。そこには随筆のほか、近所の小中学生の悩み相談と回答などが書かれていた。帰宅した光世は、思わずパソコンの電源を入れ、今はない城北新報の「打ち明けてみませんか」欄の担当者宛てに悩み相談の手紙を書き始める。
光世と店主らとの手紙のやりとりから、少女時代の彼女と親の確執が明らかにされる長編小説。
(新潮社 670円+税)