「新章 神様のカルテ」夏川草介著
栗原一止は信濃大学病院に勤務する内科医だ。ある日、消化器内科の新発田医師から相談を持ち掛けられた。上司の宇佐美医師に「ベッドがいっぱいだから、余計な患者を早く退院させなさい」と言われたという。
84歳の園原今朝雄は、重症の心不全で一般病院では危険だからと、胃ろう造設のため入院した患者だ。検査をしたら問題になるほどのこともなく、処置が終わって術後も安定している。それなのに娘の富子が検査や認知症の評価などを要求し、入院期間を延ばそうとしているのだ。富子が昔、看護師をしていたと聞いて栗原は、転院ではなく在宅介護の準備を始めたいと切り出した。(第1話「緑光」)
大学病院に舞台を移した4年ぶりの新作。
(小学館 1800円+税)