「たまうら~玉占~」星乃あかり著
おみつは、三味線の稽古場で出会った京さんから贈られたステキなかんざしをなくしてしまう。京さんから、大切な話があるから明後日に会いたいと言づてがあったその日に、落としてしまったのだ。必死に捜し回るおみつは、橋の上で老婆に声をかけられる。老婆は占い師のようで、あんどんには「玉占」と書かれていた。言われるままおみつが壷からひいた玉は、「みれん玉」だった。老婆によると、なくしたものへの未練にとらわれている人に引き寄せられる玉だという。何とか取り戻したいというおみつに、老婆は壷から取り出した「えにし玉」を枕の下に入れて寝るようにいう。(「みれん玉」)
ひと癖もふた癖もありそうな老婆が、悩みを持つ人の前に現れる連作エンターテインメント。
(小学館 580円+税)