「推薦文、作家による作家の」中村邦生編

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<漱石は懐かしい。その小説はもとより、手紙、随筆、俳句、漢詩、絵、さらにその人柄まで懐かしい。そのくせ一方では、漱石「先生」と呼びたくなる。あの世に漱石先生がいると思うと、なんとなく死ぬことまでうれしくなる。こんな感じをいだかせる人は、ほかにはいない。>

 いかにも、あの世に通じた作家・山田風太郎ならではの文章だ。

 本書は、さまざまな個人文学全集の刊行にあたって各出版社が販売促進のために発行する宣伝用パンフレット「内容見本」に掲載した推薦文を収録した異色のアンソロジー。「荷風全集」に寄せた富岡多恵子、「金子光晴全集」の田村隆一ほか名だたる作家たち84人の108編が収録されている。

(風濤社 2300円+税)

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