「特攻 知られざる内幕」戸髙一成編
戦時中の海軍の失敗を検証し、記録するために行われた海軍元中堅幹部による会議をまとめた全11巻の「[証言録]海軍反省会」から、特攻に関する議論をまとめた抄録集。
絶対死を前提にした特攻作戦は、レイテ決戦でやむを得ずに始められたといわれてきた。しかし、連合艦隊参謀だった中島親孝氏によると、その1年以上も前の昭和18年夏、軍令部二部長に転出した黒島亀人が着任直後から特攻作戦を要求していたという。
他にも、素人同然の水雷参謀が潜水艦部隊を指揮したため、水中特攻作戦でも損害ばかりで戦果の少ない結果になったことも明かされる。一方で特攻が終戦の実現に影響を与えた可能性を説くなど、特攻を送り出した側の現実と本音が交錯する生々しい証言集。
(PHP研究所 980円+税)