「なぜ『つい』やってしまうのか」デイビッド・ルイス著、得重達朗訳

公開日: 更新日:

 人はみな自分の意思に基づいて理性的に行動しているつもりでいるが、食べ過ぎ、飲み過ぎ、一目惚れや性衝動、衝動買い、暴力など、実は衝動的に「つい」やってしまうケースは意外と多い。

 本書は、人が自制心を失うメカニズムや、衝動によって起こる問題を紹介しつつ、衝動の持つ長所と短所を考察し、自制心を鍛える方法にも言及している。

 人が自制心を失う瞬間を挙げてみると、その引き金として視覚や嗅覚、聴覚などの五感が深く関わっていることがわかる。また脳の一部を損傷した人の中に衝動性が抑えられなくなる人がいることや、脳が発達途中のティーンエージャーに衝動的な行動が多いことから、脳と衝動性の関係も無視できない。

 面白いのは、衝動を抑える自制心は筋肉と似ており、鍛えることで強くなるが、使い続けると疲労して自制心が薄れるという指摘だ。ひとつの物事を自制している最中には、別の方面の衝動を抑えにくくなるという事例も興味深い。(CCCメディアハウス 2000円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    元大食い女王・赤阪尊子さん 還暦を越えて“食欲”に変化が

  2. 2

    今の渋野日向子にはゴルフを遮断し、クラブを持たない休息が必要です

  3. 3

    大谷翔平は米国人から嫌われている?メディアに続き選手間投票でもMVP落選の謎解き

  4. 4

    大食いタレント高橋ちなりさん死去…元フードファイターが明かした壮絶な摂食障害告白ブログが話題

  5. 5

    YouTuber「はらぺこツインズ」は"即入院"に"激変"のギャル曽根…大食いタレントの健康被害と需要

  1. 6

    大食いはオワコン?テレ東番組トレンド入りも批判ズラリ 不満は「もったいない」だけじゃない

  2. 7

    高市内閣の閣僚にスキャンダル連鎖の予兆…支持率絶好調ロケットスタートも不穏な空気

  3. 8

    「渡鬼」降板、病魔と闘った山岡久乃

  4. 9

    大谷翔平の来春WBC「二刀流封印」に現実味…ドジャース首脳陣が危機感募らすワールドシリーズの深刻疲労

  5. 10

    高市早苗「飲みィのやりィのやりまくり…」 自伝でブチまけていた“肉食”の衝撃!