「鬼を待つ」あさのあつこ著
北町奉行所同心の冷徹な木暮信次郎と刺客の過去を持つ遠野屋清之介、そして木暮の手下で岡っ引きの伊佐治の3人が活躍する〈弥勒〉シリーズの最新第9作。
本所尾上町の小料理屋「梅屋」にいた伊佐治の元に、石川町の飲み屋で男2人が殴り合っているとの知らせが入った。殴られたのは大工の棟梁・慶五郎で、額が割れたが命に別条はない。しかし、殴った菊八は翌朝、寺の境内で首を吊った状態で発見された。
慶五郎は伊佐治に「殴り合いの種は自分にある、菊八の女房とせがれの面倒を見る」と言い、菊八の女房も渋々ながら受け入れ一件落着となる。
2カ月後の早朝、本所深川で五寸釘で首を貫かれた死体が出た。男は慶五郎だった。同じ頃、事件がつづられた読売に目を通した遠野屋清之介は妙な胸騒ぎを感じる……。
(光文社 1600円+税)