「花を呑む」あさのあつこ著

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 北定町廻り同心、木暮信次郎と小間物問屋の主人、遠野屋清之介、そして木暮の手下で岡っ引きの伊佐治の3人が活躍する〈弥勒〉シリーズの最新第7作。

 油問屋、東海屋のお内儀お栄が叫び声を聞きつけて主人の五平の部屋に入ると、そこには口からボタンの花弁をあふれさせた五平の姿があった。しかも、部屋の隅には腰から下のない白いじゅばんを着た幽霊がいた。五平の妾、お宮が死んでいるのが発見されるに及び、五平から別れ話を持ち出されたお宮が自死し、その恨みで五平をとり殺したという噂が江戸の町を駆け巡る。この怪異な事件の真相に迫るべく、信次郎は伊佐治に五平の身辺を洗うよう指示する。一方、清之介は、病に侵された兄の薬代として500両を用立てることになるが、これが信次郎らの事件と結びつくことに――。

 一切の感情を排し冷徹な信次郎と、過去の闇にとらわれる清之介の緊張感のある関係がこのシリーズの要だが、本作でも2人の静かだが熾烈な心の内の戦いが繰り広げられる。(光文社 1600円+税)

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