著者のコラム一覧
北上次郎評論家

1946年、東京都生まれ。明治大学文学部卒。本名は目黒考二。76年、椎名誠を編集長に「本の雑誌」を創刊。ペンネームの北上次郎名で「冒険小説論―近代ヒーロー像100年の変遷」など著作多数。本紙でも「北上次郎のこれが面白極上本だ!」を好評連載中。趣味は競馬。

「令和元年 競輪全43場旅打ちグルメ放浪記」峯田淳著

公開日: 更新日:

 漫画家・横田昌幸が書いた「競輪巡礼記」の話が本書に出てくるが、私、この本も読んでいる! ちょうど30年前に出た本だが、そのときは「全国50場」という副題がついていた。それが30年後に「43場」となっていることは寂しくもあるが、それしか減ってないとは意外に頑張っているようでもある。

 ところで私、競輪ファンではない。これまで競輪場に行ったことも数回しかない。それでも、横田昌幸「全国50場 競輪巡礼記」や本書が好きなのは、ようするにギャンブルについて書かれたものが好きだからだ。

 本書は特に、タイトルにあるように全国の競輪場のグルメについても書かれているのが興味深い。

 京王閣「まくりや」の牛すじカレー、静岡競輪場の「牛ふわ」、そして、全国ご当地インスタントラーメンがそろっている立川競輪場「468」などが次々に紹介されるのである。平塚競輪場4コーナー裏の売店「七福3号店」のアジフライ150円も、特に珍しいものでもないが、「平塚のアジフライはうまい。湘南海岸で獲れたアジの揚げたてにソースをたっぷりかけてかぶりつく」と書かれると食べたくなるのだ。

 競輪場だけではない。岐阜城の展望レストランには、豚のホルモンと牛すじを甘味噌で煮込んだ「信長どて丼」があると紹介されると、行ってみたくなる。競輪のことを知らなくてもたっぷりと楽しめる本だ。

 (徳間書店 1500円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    今オフ日本史上最多5人がメジャー挑戦!阪神才木は“藤川監督が後押し”、西武Wエースにヤクルト村上、巨人岡本まで

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希にリリーバーとしての“重大欠陥”…大谷とは真逆の「自己チューぶり」が焦点に

  3. 3

    日本ハム最年長レジェンド宮西尚生も“完オチ”…ますます破壊力増す「新庄のDM」

  4. 4

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  5. 5

    初の黒人力士だった戦闘竜さんは難病で入院中…「治療で毎月30万円。助けてください」

  1. 6

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  2. 7

    ドジャース佐々木朗希もようやく危機感…ロッテ時代の逃げ癖、図々しさは通用しないと身に染みた?

  3. 8

    ドジャース大谷翔平が“本塁打王を捨てた”本当の理由...トップに2本差でも欠場のまさか

  4. 9

    “条件”以上にFA選手の心を動かす日本ハムの「圧倒的プレゼン力」 福谷浩司を獲得で3年連続FA補強成功

  5. 10

    吉沢亮は業界人の評判はいいが…足りないものは何か?