「夢みる名古屋」矢部史郎著
名古屋はすべてが整然と並べられ、まるでアメリカの街路のような寒々しさでアジア的な潤いがない。名古屋城の城下には、近世に造られた碁盤割りの町地があったが、戦中に空襲の延焼を防ぐために住民を立ち退かせ、空き地にした。戦後復興都市計画で、ここに久屋大通、若宮大通の2本の100メートル道路が新設された。この100メートル道路が名古屋の中心街、栄の買い物客の賑わいを遮っている。デパートや歓楽街が集積しているのにハイヒールを履いている女性が見られない。ハイヒールでは、この街の横断歩道を渡りきることはできないからだ。
ほかに、中京デトロイト化計画などを取り上げて、名古屋を読み解く都市論。
(現代書館 1800円+税)