「平成女子高制服クロニクル」森伸之著

公開日: 更新日:

 平成元(1989)年、東京・青山学院の女生徒たちが輸入物のスポーツソックスの足元をたるませて渋谷の街を歩き始めた。この「くしゅくしゅソックス」こそ、その後10年以上にわたって女子高生のアイコンとなったルーズソックスの原型だ。ルーズソックスとミニスカートという通学スタイルは「コギャル」というキーワードとともに女子高生のトレードマークとなり、平成のひとつの文化となった。

 本書は、時代を彩った女子高生たちの制服で平成を振り返るイラストブック。

 90年代中期、平成の典型的な女子高生スタイルは、襟元を開けたブラウスにセーターやニットベストを合わせ、ミニスカートにスーパールーズというものだった。

 自由奔放に見える彼女たちの着こなしだが、実は独自のドレスコードが存在していたという。

 ポイントは靴と持ち物。どれほど着崩しても、制服を着ているときは必ずローファーを履き、スクールバッグを肩にかけていた。2000年代に入るとルーズソックスが廃れ、紺のハイソックスが定番となり、2010年代前半には極端なミニスカートが時代遅れになり、ニット類もはやらなくなった。それでもドレスコードは健在だったが、平成の終わりとともにそのドレスコードにも変化が起きているという。

 本書ではルーズソックスが隆盛を極めた1995年から2002年まで、「東京的女子高生」発祥の聖地である渋谷をはじめ、名古屋、函館など、全国各地で女子高生たちがどのようなデザインの制服を着て、どのように着こなしていたかを記録。

 さらに第2章では、テレビドラマや映画に登場する女子高生たちの制服も考察するなど、リアルとフィクションにまたがる制服の歴史を俯瞰する。

(河出書房新社 2400円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    出家否定も 新木優子「幸福の科学」カミングアウトの波紋

  2. 2

    中学受験で慶応普通部に進んだ石坂浩二も圧倒された「幼稚舎」組の生意気さ 大学時代に石井ふく子の目にとまる

  3. 3

    さすがチンピラ政党…維新「国保逃れ」脱法スキームが大炎上! 入手した“指南書”に書かれていること

  4. 4

    ドジャース「佐々木朗希放出」に現実味…2年連続サイ・ヤング賞左腕スクーバル獲得のトレード要員へ

  5. 5

    ギャラから解析する“TOKIOの絆” 国分太一コンプラ違反疑惑に松岡昌宏も城島茂も「共闘」

  1. 6

    中日からFA宣言した交渉の一部始終 2001年オフは「残留」と「移籍」で揺れる毎日を過ごした

  2. 7

    有本香さんは「ロボット」 どんな話題でも時間通りに話をまとめてキッチリ終わらせる

  3. 8

    巨人は国内助っ人から見向きもされない球団に 天敵デュプランティエさえDeNA入り決定的

  4. 9

    放送100年特集ドラマ「火星の女王」(NHK)はNetflixの向こうを貼るとんでもないSFドラマ

  5. 10

    佐藤輝明はWBC落選か? 大谷ジャパン30人は空前絶後の大混戦「沢村賞右腕・伊藤大海も保証なし」