「実さえ花さえ」朝井まかて著
「実さえ花さえ」朝井まかて著
花師の新次とおりんが営む向嶋の小さな植木屋に、日本橋の大店のご隠居が訪ねてきた。知人に勧められ訪ねてきたというご隠居は、桜草を快気祝いの会の引き出物にしたいという。新次が5年がかりで完成させた新種の桜草の見本に感服したご隠居は、30鉢注文、鉢の代金も含め30両を支払うと約束。新次は、花に合う鉢を特別にあつらえるよう鉢屋の権鉢堂に注文する。だが、納品の期日が近づく中、権鉢堂の手代が、鉢を用意できないと返金に現れた。新次は慌てて代わりを探すが見つからない。
そんな中、新次はかつて修業した江戸城出入りの植木商・霧島屋が権鉢堂に横やりを入れたことを耳にする。なぜ霧島屋がそんなことをするのか、新次には見当もつかない。
人気小説家が江戸の園芸を描いたデビュー作。 (講談社 825円)