「むらさきのスカートの女」 今村夏子著

公開日: 更新日:

 1週間に1度くらいの割合で、パン屋にクリームパンを買いにくる「むらさきのスカートの女」。近所の公園には「むらさきのスカートの女専用シート」と名付けられたベンチまである。彼女は勤め先がころころ変わって働いたり働いていなかったりする。

「わたし」は彼女と友達になりたいと思って、自分の職場に彼女を就職させようと試みた。いつものベンチに無料の求人情報誌を置くと、彼女は目に留めてぱらぱらめくっているが、蛍光マーカーで丸をつけてあるのに、関係ない石鹸工場やら肉まん工場に面接に行くばかり。「わたし」の職場に面接の申し込みをするのに3カ月かかった。

 得体の知れぬ女を観察し続ける奇妙な物語。第161回芥川賞受賞作。

(朝日新聞出版 1300円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    阪神・大山悠輔「5年20億円」超破格厚遇が招く不幸…これで活躍できなきゃ孤立無援の崖っぷち

  2. 2

    織田裕二がフジテレビと決別の衝撃…「踊る大捜査線」続編に出演せず、柳葉敏郎が単独主演

  3. 3

    兵庫県・斎藤元彦知事を待つ12.25百条委…「パー券押し売り」疑惑と「情報漏洩」問題でいよいよ窮地に

  4. 4

    W杯最終予選で「一強」状態 森保ジャパン1月アジア杯ベスト8敗退からナニが変わったのか?

  5. 5

    悠仁さまは東大農学部第1次選考合格者の中にいるのか? 筑波大を受験した様子は確認されず…

  1. 6

    指が変形する「へバーデン結節」は最新治療で進行を食い止める

  2. 7

    ジョン・レノン(5)ジョンを意識した出で立ちで沢田研二を取材すると「どっちが芸能人?」と会員限定記事

  3. 8

    中山美穂さんの死を悼む声続々…ワインをこよなく愛し培われた“酒人脈” 隣席パーティーに“飛び入り参加”も

  4. 9

    巨人今季3度目の同一カード3連敗…次第に強まる二岡ヘッドへの風当たり

  5. 10

    「踊る大捜査線」12年ぶり新作映画に「Dr.コトー診療所」の悲劇再来の予感…《ジャニタレやめて》の声も