「ふしぎな鉄道路線」竹内正浩著

公開日: 更新日:

 明治2年、新政府は東西両京(東京・京都)を結ぶ幹線と、各支線の鉄道建設を正式決定。当時は地形図すらなく、鉄道敷設案の策定は困難を極めた。

 費用や工期を抑えるためトンネルや橋梁工事を避けなければならず、当初、「両京幹線」は中山道沿いでの建設が予定されていたという。政府内には反対派も多く、幹線鉄道計画は遅々として進まなかったが、西南戦争の折に鉄道が軍事輸送で大きな役割を果たし、反対派の軍部の認識も変化。工事計画が具体化すると中山道線には建設工事が困難な難所が多いことが判明し、東海道経由に変更され、計画から20年後にようやく開通したという。

 全国の鉄道路線がなぜそこに敷設されたのか、地形や軍部による介入の歴史から解説した鉄道ファン必読本。 (NHK出版 950円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    3年連続MVP大谷翔平は来季も打者に軸足…ドジャースが“投手大谷”を制限せざるを得ない複雑事情

  2. 2

    自民党・麻生副総裁が高市経済政策に「異論」で波紋…“財政省の守護神”が政権の時限爆弾になる恐れ

  3. 3

    立花孝志容疑者を"担ぎ出した"とやり玉に…中田敦彦、ホリエモン、太田光のスタンスと逃げ腰に批判殺到

  4. 4

    最後はホテル勤務…事故死の奥大介さん“辛酸”舐めた引退後

  5. 5

    片山さつき財務相“苦しい”言い訳再び…「把握」しながら「失念」などありえない

  1. 6

    ドジャースからWBC侍J入りは「打者・大谷翔平」のみか…山本由伸は「慎重に検討」、朗希は“余裕なし”

  2. 7

    名古屋主婦殺人事件「最大のナゾ」 26年間に5000人も聴取…なぜ愛知県警は容疑者の女を疑わなかったのか

  3. 8

    阪神異例人事「和田元監督がヘッド就任」の舞台裏…藤川監督はコーチ陣に不満を募らせていた

  4. 9

    高市内閣支持率8割に立憲民主党は打つ手なし…いま解散されたら木っ端みじん

  5. 10

    《もう一度警察に行くしかないのか》若林志穂さん怒り収まらず長渕剛に宣戦布告も識者は“時間の壁”を指摘