「大化改新の黒幕」小林惠子著

公開日: 更新日:

 古代史上最大の事件のひとつ「大化改新」の真相に迫る歴史エッセー。

 日本書紀は、645年に中大兄皇子と中臣鎌子(鎌足)が天皇をないがしろにしていた蘇我一族の入鹿を暗殺したと記す。

 この「乙巳の変」後に即位したのは、蘇我氏滅亡の功労者である中大兄ではなく、彼の母親・斉明天皇の異母弟と称する孝徳天皇だった。孝徳の父親は書紀にその名が見当たらず、なぜこのような出自不詳の人物が即位できたのか著者は疑問を投げかける。

 さらに661年、中大兄は唐から百済を奪還すべく出兵する(白村江の戦い)が、なぜ倭国の皇太子が百済の再興を志したのか。明治時代に「大化改新」と名付けられた乙巳の変に始まる一連の社会改革を、東アジア全体に関わる政変として読み解く。

(祥伝社 860円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    嵐ラストで「500億円ボロ儲け」でも“びた一文払われない”性被害者も…藤島ジュリー景子氏に問われる責任問題

  2. 2

    トリプル安で評価一変「サナエノリスク」に…為替への口先介入も一時しのぎ、“日本売り”は止まらない

  3. 3

    27年度前期朝ドラ「巡るスワン」ヒロインに森田望智 役作りで腋毛を生やし…体当たりの演技の評判と恋の噂

  4. 4

    今田美桜に襲い掛かった「3億円トラブル」報道で“CM女王”消滅…女優業へのダメージも避けられず

  5. 5

    安青錦の大関昇進めぐり「賛成」「反対」真っ二つ…苦手の横綱・大の里に善戦したと思いきや

  1. 6

    元TOKIO松岡昌宏に「STARTO退所→独立」報道も…1人残されたリーダー城島茂の人望が話題になるワケ

  2. 7

    今田美桜が"あんぱん疲れ"で目黒蓮の二の舞いになる懸念…超過酷な朝ドラヒロインのスケジュール

  3. 8

    織田裕二「踊る大捜査線」復活までのドタバタ劇…ようやく製作発表も、公開が2年後になったワケ

  4. 9

    「嵐」が2019年以来の大トリか…放送開始100年「NHK紅白歌合戦」めぐる“ライバルグループ”の名前

  5. 10

    実は失言じゃなかった? 「おじいさんにトドメ」発言のtimelesz篠塚大輝に集まった意外な賛辞