「彼方のゴールド」大崎梢著

公開日: 更新日:

 主人公は、老舗出版社「千石社」に勤める目黒明日香。入社後営業部に配属になり、このまま営業畑で働くのもいいかも……と思っていた直後、突然総合スポーツ誌「GOLD」編集部への異動の辞令を受けた。

 スポーツが苦手で、経験といえば小学3年生でやめてしまった水泳くらいしかない自分が、ここでやっていけるのかと戸惑いつつも、明日香は体当たりで仕事に飛び込んでいく。

 知らない専門用語に苦労しつつ、取材時に拾った選手たちのふとした言葉や、プロ意識の高いフリーのスポーツライターらに刺激を受けながら、自分なりのやり方を少しずつ見つけていく。そして、アスリートの姿を垣間見る中で、オリンピックを目指していたある友達との古い記憶が蘇ってきたのだが……。

 本作は、出版社を舞台にした人気の「千石社シリーズ」第4弾。今回は、スポーツ誌を舞台に奮闘する新米記者が、アスリートの葛藤やドラマを目撃。

 彼らを追いかけながら自身を成長させていく、爽やかなお仕事小説になっている。オリンピックイヤーに向けて過熱していく、スポーツを伝える現場の臨場感が伝わってくる。

(文藝春秋 1450円+税)

【連載】週末に読みたいこの1冊

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    2度不倫の山本モナ 年商40億円社長と結婚&引退の次は…

  2. 2

    日本ハムFA松本剛の「巨人入り」に2つの重圧…来季V逸なら“戦犯”リスクまで背負うことに

  3. 3

    FNS歌謡祭“アイドルフェス化”の是非…FRUITS ZIPPER、CANDY TUNE登場も「特別感」はナゼなくなった?

  4. 4

    「ばけばけ」好演で株を上げた北川景子と“結婚”で失速気味の「ブギウギ」趣里の明暗クッキリ

  5. 5

    「存立危機事態」めぐり「台湾有事」に言及で日中対立激化…引くに引けない高市首相の自業自得

  1. 6

    阪神異例人事「和田元監督がヘッド就任」の舞台裏…藤川監督はコーチ陣に不満を募らせていた

  2. 7

    (2)「アルコールより危険な飲み物」とは…日本人の30%が脂肪肝

  3. 8

    西武・今井達也「今オフは何が何でもメジャーへ」…シーズン中からダダ洩れていた本音

  4. 9

    阪神・佐藤輝明にライバル球団は戦々恐々…甲子園でのGG初受賞にこれだけの価値

  5. 10

    高市政権の物価高対策はパクリばかりで“オリジナル”ゼロ…今さら「デフレ脱却宣言目指す」のア然