「昭和40年男 ~オリンポスの家族~」佐川光晴著

公開日: 更新日:

 山田三男は体操の元日本代表選手。ソウル五輪での金メダルを目指していたが前年の世界選手権で大技に挑戦して失敗。大ケガを負って選手生命を絶たれる。そんな三男を支えたのが、走り幅跳びの日本記録を持つ同じアスリートの莉乃だ。2人は結婚して、三男はリハビリを兼ねて専業主夫となり、莉乃は大手スポーツメーカーに就職して家計を担うことに。

 長女の美岬は新体操の日本代表となってリオ五輪を目指し、引退後は美人キャスターとして注目を集めていた。次女の千春は運動は苦手なものの、高校に入ってから囲碁の才能に目覚め、日々練習に励んでいた。そんな折、莉乃の母から三男に「助けて。早く来て~」と電話がかかってきた。すぐに様子を見に行こうと莉乃に言うが、なぜか彼女は行きたがらない。彼女と義母の間に何があったのか……。

 昭和40年生まれといえば、幼少期が高度経済成長の末期、バブル期に20代を過ごし、その後、長引く不況の社会人生活を送っている。そして現在は、親の介護の問題も。

 オリンピックを巧みに絡めながら、昭和、平成、令和、3つの時代が濃密に書き込まれた家族の物語。

 (ホーム社 1600円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    嵐ラストで「500億円ボロ儲け」でも“びた一文払われない”性被害者も…藤島ジュリー景子氏に問われる責任問題

  2. 2

    トリプル安で評価一変「サナエノリスク」に…為替への口先介入も一時しのぎ、“日本売り”は止まらない

  3. 3

    27年度前期朝ドラ「巡るスワン」ヒロインに森田望智 役作りで腋毛を生やし…体当たりの演技の評判と恋の噂

  4. 4

    今田美桜に襲い掛かった「3億円トラブル」報道で“CM女王”消滅…女優業へのダメージも避けられず

  5. 5

    安青錦の大関昇進めぐり「賛成」「反対」真っ二つ…苦手の横綱・大の里に善戦したと思いきや

  1. 6

    元TOKIO松岡昌宏に「STARTO退所→独立」報道も…1人残されたリーダー城島茂の人望が話題になるワケ

  2. 7

    今田美桜が"あんぱん疲れ"で目黒蓮の二の舞いになる懸念…超過酷な朝ドラヒロインのスケジュール

  3. 8

    織田裕二「踊る大捜査線」復活までのドタバタ劇…ようやく製作発表も、公開が2年後になったワケ

  4. 9

    「嵐」が2019年以来の大トリか…放送開始100年「NHK紅白歌合戦」めぐる“ライバルグループ”の名前

  5. 10

    実は失言じゃなかった? 「おじいさんにトドメ」発言のtimelesz篠塚大輝に集まった意外な賛辞