「昭和40年男 ~オリンポスの家族~」佐川光晴著

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 山田三男は体操の元日本代表選手。ソウル五輪での金メダルを目指していたが前年の世界選手権で大技に挑戦して失敗。大ケガを負って選手生命を絶たれる。そんな三男を支えたのが、走り幅跳びの日本記録を持つ同じアスリートの莉乃だ。2人は結婚して、三男はリハビリを兼ねて専業主夫となり、莉乃は大手スポーツメーカーに就職して家計を担うことに。

 長女の美岬は新体操の日本代表となってリオ五輪を目指し、引退後は美人キャスターとして注目を集めていた。次女の千春は運動は苦手なものの、高校に入ってから囲碁の才能に目覚め、日々練習に励んでいた。そんな折、莉乃の母から三男に「助けて。早く来て~」と電話がかかってきた。すぐに様子を見に行こうと莉乃に言うが、なぜか彼女は行きたがらない。彼女と義母の間に何があったのか……。

 昭和40年生まれといえば、幼少期が高度経済成長の末期、バブル期に20代を過ごし、その後、長引く不況の社会人生活を送っている。そして現在は、親の介護の問題も。

 オリンピックを巧みに絡めながら、昭和、平成、令和、3つの時代が濃密に書き込まれた家族の物語。

 (ホーム社 1600円+税)

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