「パンティオロジー」秋山あい著

公開日: 更新日:

 女性には、人生において「それぞれのそのときどきのパンティ哲学」があるそうだ。ふだん人に見せることがない「その1枚の布から、個々の物語と時代性が浮かび上がるのではないか」と考えた著者は、さまざまな女性たちにインタビューを敢行。彼女たちが話してくれたエピソードに、各自が愛用のパンティーのドローイングを添えて紹介する“アート×考現学本”である。

 女性たちには、現在持っているパンティーの中から、それぞれいちばん「セクシー」「リラックスできる」「お気に入り」の3点を選んでもらい、それらについて語ってもらう。

 パリ在住の41歳の日本人アーティストが30枚ほど所有するパンティーの中でいちばんセクシーなのは、女友達からプレゼントされたブルーの生地に繊細なレースのフリルがついたもの。これをはくとうれしくなるし、ワクワクするという。

 36歳の障害者支援施設職員のセクシーパンティーは、2年前に離婚したときに、ハンターの気持ちでガーターベルトとセットで購入した赤い花がアクセントの黒のTバック。一方で、休日は「冷えないよう」、無印良品のいかにもな肌色のものを愛用しているそうだ。

 中には、シーズンごとに夫から支給されるという人(41歳、結婚7年目)もいる。彼女のお気に入りは、任侠映画好きの夫が選んだ花札柄。

 また、時間をかけて大事に育てた「ヨレパン」をお気に入りにあげる女性がいたかと思えば、12歳で初潮を迎えたときにやっと大人の体を手に入れたことがうれしくて買った、百貨店の売り場のショーケースに飾られていた高価なセクシーパンティーを大切にしているというダンサーなど。33人の99枚のパンティーに込められた女性たちの思いに、ちょっと妄想を膨らませながら夢中になる。

(集英社インターナショナル2200円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希に向けられる“疑いの目”…逃げ癖ついたロッテ時代はチーム内で信頼されず

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    注目集まる「キャスター」後の永野芽郁の俳優人生…テレビ局が起用しづらい「業界内の暗黙ルール」とは

  4. 4

    柳田悠岐の戦線復帰に球団内外で「微妙な温度差」…ソフトBは決して歓迎ムードだけじゃない

  5. 5

    女子学院から東大文Ⅲに進んだ膳場貴子が“進振り”で医学部を目指したナゾ

  1. 6

    大阪万博“唯一の目玉”水上ショーもはや再開不能…レジオネラ菌が指針値の20倍から約50倍に!

  2. 7

    ローラの「田植え」素足だけでないもう1つのトバッチリ…“パソナ案件”ジローラモと同列扱いに

  3. 8

    ヤクルト高津監督「途中休養Xデー」が話題だが…球団関係者から聞こえる「意外な展望」

  4. 9

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも

  5. 10

    備蓄米報道でも連日登場…スーパー「アキダイ」はなぜテレビ局から重宝される?