「ヨコハマメリー」中村高寛著

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 かつて横浜の街に出没する有名な老女がいた。歌舞伎役者のような白塗りメークに、全身真っ白な装いの彼女は、人々から「メリーさん」と呼ばれる街娼だった。いつしか街から消えた彼女の生涯を追うドキュメンタリー映画「ヨコハマメリー」の監督が、その撮影の舞台裏をつづったルポ。

 きっかけはテレクラだった。1997年、駆け出しの助監督だった著者はテレクラで会話した見ず知らずの女性とメリーさんの話題で盛り上がる。

 以来、彼女のことが気になり、メリーさんが暮らしていた伊勢佐木町で手当たり次第に話を聞くと、やはり誰もが彼女のことを知っていた。交流があった人々を一人一人訪ね歩き、話を聞く中、郷里にいるという彼女の所在が分かり、会いに行く。

(河出書房新社 980円+税)

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