「捨て猫のプリンアラモード」麻宮ゆり子著

公開日: 更新日:

 昭和37年、2年後にオリンピックを控えた東京で、17歳の畠山郷子は、集団就職した工場から逃げ出した。あまりにひどい職場だったからだ。人事担当者と工場長の追跡をかわし、黒いワンピースの女にリヤカーに隠してもらって、洋食屋に逃げ込む。

 翌日、料理長が作ってくれたカレーに恐る恐る口をつけて「美味しいです!」と声をあげた。それまで、硬くて青くさいニンジンやざりざりした歯触りのタマネギが入った寮の食堂のカレーしか食べたことがなかったのだ。郷子は自分を助けてくれた淑子の店で働きたいと頼み込む。

 肉汁たっぷりのハンバーグや、バターの効いた海老グラタンなど、浅草の「洋食バー高野」で少女が出合った、おいしい食べものをめぐる物語。

(角川春樹事務所 1500円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人がソフトB自由契約・有原航平に「3年20億円規模」の破格条件を準備 満を持しての交渉乗り出しへ

  2. 2

    【時の過ぎゆくままに】がレコ大歌唱賞に選ばれなかった沢田研二の心境

  3. 3

    NHK朝ドラ「ばけばけ」が途中から人気上昇のナゾ 暗く重く地味なストーリーなのに…

  4. 4

    国分太一との協議内容を“週刊誌にリーク”と言及…日本テレビ社長会見の波紋と、噴出した疑問の声

  5. 5

    衆院定数削減「1割」で自維合意のデタラメ…支持率“独り負け”で焦る維新は政局ごっこに躍起

  1. 6

    西武にとってエース今井達也の放出は「厄介払い」の側面も…損得勘定的にも今オフが“売り時”だった

  2. 7

    「おこめ券」でJAはボロ儲け? 国民から「いらない!」とブーイングでも鈴木農相が執着するワケ

  3. 8

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  4. 9

    立花孝志容疑者を追送検した兵庫県警の本気度 被害者ドンマッツ氏が振り返る「私人逮捕」の一部始終

  5. 10

    京浜急行電鉄×京成電鉄 空港と都心を結ぶ鉄道会社を比較