「孔丘」宮城谷昌光著

公開日: 更新日:

 孔丘(孔子)は、娘ばかりの家にようやく生まれた息子だった。母は息子を産むだけのために60歳すぎの孔紇に嫁いだのだ。父は魯国内の勇者として知られていたが、母は武勇を激しく憎んでいた。

 孔丘がまだ10歳にもならない頃、博識の貴人として知られる延陵の季子が長男を失った、という噂を聞き、どのような葬礼を行うのか見たいと思った。

 その地は徒歩で行くには遠過ぎたので、母が馬車を頼んでくれた。埋葬は凶礼なのに吉礼のやり方をするのを見て、孔丘は戸惑った。

 十数年後、季子は長男の魂が骨と肉から解放されて自由に動けるようになったことを祝ったのだと、孔丘は悟った。

 儒教の始祖、孔丘を人間として描く。

(文藝春秋 2000円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    新生阿部巨人は早くも道険し…「疑問残る」コーチ人事にOBが痛烈批判

  2. 2

    阿部巨人V逸の責任を取るのは二岡ヘッドだけか…杉内投手チーフコーチの手腕にも疑問の声

  3. 3

    阪神「次の二軍監督」候補に挙がる2人の大物OB…人選の大前提は“藤川野球”にマッチすること

  4. 4

    阪神・大山を“逆シリーズ男”にしたソフトバンクの秘策…開幕前から丸裸、ようやく初安打・初打点

  5. 5

    巨人桑田二軍監督の“排除”に「原前監督が動いた説」浮上…事実上のクビは必然だった

  1. 6

    創価学会OB長井秀和氏が明かす芸能人チーム「芸術部」の正体…政界、芸能界で蠢く売れっ子たち

  2. 7

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  3. 8

    大谷翔平の来春WBC「二刀流封印」に現実味…ドジャース首脳陣が危機感募らすワールドシリーズの深刻疲労

  4. 9

    大死闘のワールドシリーズにかすむ日本シリーズ「見る気しない」の声続出…日米頂上決戦めぐる彼我の差

  5. 10

    ソフトB柳田悠岐が明かす阪神・佐藤輝明の“最大の武器”…「自分より全然上ですよ」