「苦海・浄土・日本」田中優子著

公開日: 更新日:

 水俣病患者とその家族に寄り添い、社会に問うた「苦海浄土―わが水俣病」の著者、石牟礼道子。

 大学1年の時に出合った同書に衝撃を受け、ノーベル文学賞にも値すると高く評価する著者が、石牟礼文学の本質とその思想に迫る評伝的文学論である。

 東日本大震災の翌年に行われた対談を再録、さらに作家の他の作品も読み解きながら、石牟礼文学は水俣病という過酷な状況だけではなく、「近代の引き起こした問題群および、1人の日本女性が抱えたさまざまな苦悩と、その原因である日本社会の問題」をも抱え込んでいたことを明らかにしていく。

 そして、社会や政治が経済発展ばかりを目指すことで起こる人々の命の困難を、水俣病という視点から凝視していた作家なら、今のコロナ禍をどう捉えたかと考える。

(集英社 880円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    橋本環奈に近日ゴールイン説が再浮上…破局説も流れた中川大志と表参道デート&高級パジャマ

  2. 2

    映画「エルヴィス」にはガッカリだったが、今度の「Michael/マイケル」はいい!

  3. 3

    バナナマン日村が簡単に復帰できそうにない「もう1つの理由」…レギュラー11本抱える人気者のジレンマ

  4. 4

    国民民主に公認取り消された娘が自死、母親も追うように…党内を震撼させた玉木代表の「長文釈明」

  5. 5

    引退した東山紀之に錦織一清演出で「少年隊」還暦コンサートのすすめ

  1. 6

    2学年上の櫻井翔に諭されて堀越高校に進んだ松本潤のかけがえのない出会い

  2. 7

    天皇皇后が訪問したオランダ・ベルギーの次期王位は「女王」に…欧州では男系優位の「サリカ法典」は過去のもの

  3. 8

    二宮和也"嵐解散"発言が物議…再始動を望むファンに突きつけた現実と意外な肯定意見

  4. 9

    高額療養費制度があるから医療保険はいらない? 病院の窓口業務を行う筆者が実際に骨折して感じたこと

  5. 10

    高市首相また国会で火ダルマ…中傷動画や暗号資産疑惑めぐり“小芝居”炸裂の答弁修正