「谷崎潤一郎 性慾と文学」千葉俊二著

公開日: 更新日:

 谷崎潤一郎は、今でこそ近代日本を代表する文豪のひとりに数えられるが、1960年ごろまでは無思想の作家と称されていた。1920年代後半から階級闘争を標榜したプロレタリア文学が興隆を極め、その後の戦時体制では民族主義的な思潮が台頭。そうした中、女性の美しさのためのみに命を捧げるという谷崎の文学は、無思想と評されたのだ。

 誰もが軍人や官吏、政治、実業、学問で身を立てることを願った立身出世の時代に、なぜ彼は男性が女性の美しさに奉仕することのみに生き、社会の変革よりも官能の充足の方がより大切だという人生観を抱くようになったのか。

 作家がそうした世界観をどのようにして得たのかを、谷崎の人生を振り返り、その作品を読み解きながら明らかにする文学テキスト。

(集英社 860円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    浜辺美波 永瀬廉との“お泊りデート”報道追い風にCM契約アップ

  2. 2

    「インチキ男 ジャンボ尾崎 世界の笑い物」マスターズで不正しても予選落ち(1994年)

  3. 3

    青学大駅伝選手 皆渡星七さんの命を奪った「悪性リンパ腫」とはどんな病なのか?

  4. 4

    大谷翔平、笑顔の裏に別の顔 日刊ゲンダイは花巻東時代からどう報じてきたか、紙面とともに振り返る

  5. 5

    浜辺美波"激やせ"騒動はキンプリ永瀬廉との「破局」が原因か? 橋本環奈が励ます"みーちゃん"の近況

  1. 6

    ダイナミックな年に

  2. 7

    清原和博 夜の「ご乱行」3連発(00年~05年)…キャンプ中の夜遊び、女遊び、無断外泊は恒例行事だった

  3. 8

    2026年冬ドラマ大予想 「共感派」は杉咲花主演作が独占、「考察派」がザワつきそうな4作

  4. 9

    神田沙也加さん「自裁」の動機と遺書…恋人との確執、愛犬の死、母との断絶

  5. 10

    萬福(神奈川・横浜)異彩を放つカレー焼麺。常連の要望を形にした強めのとろみ