「Exit」相場英雄著
20××年秋、池内貴弘は入社半年で社の看板誌「月刊言論構想」の記者に抜擢された。編集長に依頼された経済記事のネタ元がないと悩む池内に、吉祥寺に住む叔母から電話があった。池内の仙台の高校の後輩、千葉朱美が、叔母の家の裏の土地にマンションを建てるという話を持ちかけたのだ。
仙台の地銀勤務の千葉が置いていった可能融資額の説明書に、手書きで「想定利回り約10%」と書いてあった。フリーの経済ジャーナリスト、河田雄二に、千葉の勤務先が仙台あけぼの銀行だと言うと、「日本の危機を体現している企業だ。それ、絶対に取材しろ」と言う。ところが、千葉がビルから落下して死んだ。
未曽有の危機に直面する日本の財政の実態に迫る経済小説。
(日経BP 1800円+税)