「鞠子はすてきな役立たず」山崎ナオコーラ著
小太郎は、妻の鞠子から「いびつな野菜」をリクエストされ、仕事帰りにスーパーに立ち寄る。鞠子によると、絵手紙を趣味にすると決めたといい、いびつな野菜はその題材らしい。幼いころから、父親に「働かざるもの、食うべからず」と教えられて育った小太郎は、高校卒業後に銀行員になった。
一方、2歳下の鞠子は大学院を卒業後、就職せず、知り合った当時は書店でアルバイトをしていた。価値観の違いがお互いに新鮮で2年の交際を経て結婚。同時に鞠子は自ら望んで専業主婦となり3年が経っていた。絵手紙の他にも、俳句や家庭菜園、小説など興味の赴くまま趣味に取り組み始めた鞠子だが、ひょんなことから小太郎まで小説を書くことになり……
自由な妻と堅実な夫の暮らしを描くホーム小説。
(河出書房新社 924円)