「ポルトガル、西の果てまで」福間恵子著
映画のプロデューサーである著者は、ポルトガルに一人旅をすることにした。映画監督の夫、健二は「ヨーロッパの西の果てのポルトガルと出会うのは、きっと時間の問題だったんだよ。中心よりも端っこが好きなんだから」と言う。
リスボンからバスで5時間、タメガ川のほとりの谷間にあるアマランテに到着。カフェを兼ねた宿でとびきりのカビデーラを食べようと思ったのだ。鶏肉と内臓と血を入れたリゾット風の料理で、新鮮な血がないと作れない。女主人は「いつもは水曜か木曜に作るけど材料が手に入るかどうか」と言う。毎日、期待しながらたずねるのだが……。
ポルトガルへの13回もの旅から生まれた紀行エッセー。
(共和国 2640円)