「ドキュメント がん治療選択」金田信一郎著

公開日: 更新日:

 居酒屋で突然嘔吐(おうと)したことをきっかけに体の異変に気付いた著者は、近所のクリニックで食道がん疑いの診断を受け、東大病院を紹介された。

 主治医となったのは、以前自身の母親が胃がんの手術を受けて治してもらった医師だったこともあり、当初は安心できると感じていた。

 しかし次第に、実際の執刀医は誰になるのか、転移はあるのか、がんの影響が声帯にまで及ぶのかなどの疑問を解消することができないまま、どんどん治療が進められてしまうことに疑問を感じ始める。お任せで治療が進んでしまうことに抵抗を感じた著者は、ワンクール目の抗がん剤治療が終わったタイミングで、セカンドオピニオンを受けて転院する決意をしたのだが……。

 長年ジャーナリストとして生きてきた著者が、がん患者になった立場から自身のがん治療選択のリアルを紹介したドキュメンタリー。後悔しない治療法にたどり着くために行った難しい決断や試行錯誤の過程が描かれている。巻末には、東大病院の病院長・瀬戸泰之氏と国立がん研究センター東病院の病院長・大津敦氏へのインタビューも収録されている。

(ダイヤモンド社 1650円)

【連載】週末に読みたいこの1冊

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    上白石萌音・萌歌姉妹が鹿児島から上京して高校受験した実践学園の偏差値 大学はそれぞれ別へ

  2. 2

    大谷 28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」とは?

  3. 3

    学力偏差値とは別? 東京理科大が「MARCH」ではなく「早慶上智」グループに括られるワケ

  4. 4

    ドジャース大谷の投手復帰またまた先送り…ローテ右腕がIL入り、いよいよ打線から外せなくなった

  5. 5

    よく聞かれる「中学野球は硬式と軟式のどちらがいい?」に僕の見解は…

  1. 6

    備蓄米報道でも連日登場…スーパー「アキダイ」はなぜテレビ局から重宝される?

  2. 7

    進次郎農相の「500%」発言で抗議殺到、ついに声明文…“元凶”にされたコメ卸「木徳神糧」の困惑

  3. 8

    長嶋茂雄さんが立大時代の一茂氏にブチ切れた珍エピソード「なんだこれは。学生の分際で」

  4. 9

    (3)アニマル長嶋のホームスチール事件が広岡達朗「バッドぶん投げ&職務放棄」を引き起こした

  5. 10

    米スーパータワマンの構造的欠陥で新たな訴訟…開発グループ株20%を持つ三井物産が受ける余波