「ものがたりの賊(やから)」真藤順丈著

公開日: 更新日:

 1923年9月1日、帝都を大地震が襲った。大火によって東京は焼け野原と化し、戒厳令が発布され、警察に代わって軍部が東京の治安維持に当たることに。デマに扇動された暴徒が朝鮮人たちを襲う。

 そこに負傷した朝鮮人たちを救護しようとする者が現れた。彼らが負傷者の傷口に手をかざすと、そこから傷が癒えてゆく。それは「坊っちゃん」「聖」などと呼ばれる人たちで、かつて瀕死の重傷を負った時、「竹取の翁」から輸血を受けたことから「血の恩寵」を受け、不老、長寿となったのだ。

 日本文学の名作の登場人物が、軍部の怪しい動きや致死的な感染症に脅かされる帝都で大活躍する奇想天外なエンターテインメント。

(文藝春秋 2200円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    今オフ日本史上最多5人がメジャー挑戦!阪神才木は“藤川監督が後押し”、西武Wエースにヤクルト村上、巨人岡本まで

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希にリリーバーとしての“重大欠陥”…大谷とは真逆の「自己チューぶり」が焦点に

  3. 3

    日本ハム最年長レジェンド宮西尚生も“完オチ”…ますます破壊力増す「新庄のDM」

  4. 4

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  5. 5

    初の黒人力士だった戦闘竜さんは難病で入院中…「治療で毎月30万円。助けてください」

  1. 6

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  2. 7

    ドジャース佐々木朗希もようやく危機感…ロッテ時代の逃げ癖、図々しさは通用しないと身に染みた?

  3. 8

    ドジャース大谷翔平が“本塁打王を捨てた”本当の理由...トップに2本差でも欠場のまさか

  4. 9

    “条件”以上にFA選手の心を動かす日本ハムの「圧倒的プレゼン力」 福谷浩司を獲得で3年連続FA補強成功

  5. 10

    吉沢亮は業界人の評判はいいが…足りないものは何か?