「老いも病も受け入れよう」瀬戸内寂聴著

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 昨年、99歳で亡くなった著者が老いと死についてつづったエッセー集。

 満92歳の誕生日の2週間後、腰椎の圧迫骨折で入院。入院中に胆のうがんも見つかり手術を受けた。だが、この病気までは自分で老いを感じたことはなかったという。骨折は治ったが、翌年にはまたあちらこちらが痛くなり、手足のしびれまで出てきた。

 あらがいながらもその現実を受け入れるしかないとつづり、「昔できたことが、できなくなる。それがまさしく老いるということ」と心情を吐露する。

 常識にとらわれず、自分の体が必要とするものを食べたほうがいいとする食事法から、恋心の大切さ、入院中に鬱に負けそうになった体験など。90歳を過ぎ、老いと並走しながら生きる日々に、年を取ることを恐れない生き方を学ぶ。

(新潮社 539円)

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