クローディア書店(大阪・淡路町)アート本、エッセーなどの古本が中心の本への敬意を感じる空間
大阪には、東京市をしのいで日本一の人口になり、「大(だい)大阪」と呼ばれた時代があった。その真っただ中、1925年に建った船場ビルディングの2階にある。
中庭を囲む回廊を歩いて到着。ドアを開くと、本への敬意が形になったような空間が広がっていた。7坪ほど。アート本、図録、エッセーなどの古本が中心のもよう。
「勤めていた会社がこの近くで、たまたま『空室あり』の案内を見かけた、というご縁からです」と、迎えてくれた店主の近藤美樹さん。場が空気をつくり、空気が場をつくる。そんなことを考えながら、店内をめぐる。
さっそく「フランスの配色」「和紙の見わけ方」「インド・エスニック文様事典」と目が合う。でも、振り切って右手に進むと、駒敏郎「心斎橋北詰」、藤沢桓夫「私の大阪」から「大阪の教科書」まで、大阪関連本がずらり。そして、それらと袖擦り合って、安藤忠雄や隈研吾、石井幹子らの建築関連本が。
「ビル建築を見学に来られる方が、大阪の本も手に取ってくださるんです」
あ、なるほど。
食べ物、飲み物、職人仕事、映画、演劇、思想・哲学、幻想文学、心理学……。あちら側にはアート本や写真集。棚に導かれるって、こういうことだ。
「ふわふわとピリッの塩梅(あんばい)を考えているんですが、まだまだです」
2020年の開業。近藤さんは司書資格を持ち、図書館でのアルバイト経験もあるが、金融関係に就職、翻訳会社に転職という経歴。「この先、自分は何をしたいのか。本屋だ」との思いに駆られた日から、あちこちの独立系書店に足を運んだり、シェア型書店に出店したり。独立後、せどりと買い取りで、この世界観をつくってきた。
「古本は『売れたから、また注文』とはいかないから、新本も仕入れるようになった」そうで、テーブルには新本の「世界の美しいことば」「パリを愛した画家たち」などが。店名のもとになったという児童文学「クローディアの秘密」も。
大好評!自分だけの一冊に仕立て直す「誂え製本」
そして、奥まったところに、布張りの上製本が背を見せる小さな棚を発見。
「実は私、『自分だけの本を作りませんか』とひっそりと製本をしていまして」と。つまり、お気に入りの本を自分だけの一冊に仕立て直す「誂え製本」だ。
イタリア製やアメリカ製の布、見返しの紙、2本の栞ひも。表紙回りに布のどの部分を見せれば、その本らしくなるのかまで考えての制作。作っても作っても売れてしまうため、今は注文制作だけにしているそう。本がもう一度、新しい物語をまとうこともできる本屋さんなのだ。
◆大阪市中央区淡路町2-5-8 船場ビルディング215/大阪メトロ堺筋線堺筋本町駅から徒歩8分、同北浜駅、御堂筋線淀屋橋駅・本町駅から徒歩9分/平日・正午~午後6時、土日は不定休。Xまたはインスタで確認を。
ウチの推し本
「菜の辞典」長井史枝テキスト、川副美紀イラスト
「雷鳥社の『辞典シリーズ』は、会社員時代に上野の本屋さんで出会って以来、ファン。『菓の辞典』『石の辞典』『草の辞典』など、どれもイラストが圧倒的に美しいんです。新刊だけでも累計120冊売ってきました」
「菜の辞典」は、一年中目にするものから、珍しいものまで約180種の野菜を収録。旬の時季、選び方、保存方法、食べ方、栄養素、効能効果なども説明され、実用としての使いやすさも兼ね備えた一冊。
(雷鳥社 1650円)
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