「最後の読書」津野海太郎著

公開日: 更新日:

「読む人間、書く人間、つくる(編集する)人間」として、本とともに生きてきた著者が、読書をテーマにつづるエッセー集。

 ある出版社が鶴見俊輔氏が晩年につけていたノート「もうろく帖」を活字化。その後編には脳梗塞で倒れる6日前までのメモが記されている。病に倒れた鶴見氏は、言語の機能を失うものの受信は可能、発信は不可能な状態になったという。

 驚くことに、長期の入院の末に帰宅し、亡くなるまでの3年半もの間、本を読み続けることをやめなかったと知り、老いの底は、いま自分が想像しているよりもはるかに深いようだと思いを新たにする。(「読みながら消えていく」)

 目は弱り、記憶力は衰える一方だが、それでも新しい出合いを求め手にした読書の記録。読売文学賞受賞作。

(新潮社 693円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    落合博満さんと初キャンプでまさかの相部屋、すこぶる憂鬱だった1カ月間の一部始終

  2. 2

    “芸能界のドン”逝去で変わりゆく業界勢力図…取り巻きや御用マスコミが消えた後に現れるモノ

  3. 3

    渡辺謙63歳で「ケイダッシュ」退社→独り立ちの背景と21歳年下女性との再々婚

  4. 4

    参政党は言行一致の政党だった!「多夫多妻」の提唱通り、党内は不倫やら略奪婚が花盛り

  5. 5

    悠仁さま「友人とガスト」でリア充の一方…警備の心配とお妃候補との出会いへのプレッシャー

  1. 6

    伊東市長「続投表明」で大炎上!そして学歴詐称疑惑は「カイロ大卒」の小池都知事にも“飛び火”

  2. 7

    大阪万博は鉄道もバスも激混みでウンザリ…会場の夢洲から安治川口駅まで、8キロを歩いてみた

  3. 8

    早場米シーズン到来、例年にない高値…では今年のコメ相場はどうなる?

  4. 9

    中島歩「あんぱん」の名演に視聴者涙…“棒読み俳優”のトラウマ克服、11年ぶり朝ドラで進化

  5. 10

    米価高騰「流通悪玉論」は真っ赤なウソだった! コメ不足を招いた農水省“見込み違い”の大罪